SATOWEB(佐藤雄樹)

敬虔なる不謹慎

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はいどうもこんにちは。いっぺいです。今回取り上げたいのは「Only Love Hurts」という歌謡ファンクバンド。略称はO.L.H.(オーエルエイチ)。数年前までは「面影ラッキーホール」というバンド名で活動しており、9割9分9厘のファンは「Only Love Hurts」ではなく今でも「面影ラッキーホール」の方で呼ぶ、せっかくの改名がまったく意味をなさなかった可哀想なバンドです。面影ラッキーホール時代の略称は面ラホ(おもラホ)。結局O.L.H.はほぼまったく浸透してなくて、面ラホは今でも面ラホです。改名に至った理由は何か以前うにゃうにゃと説明してましたが、自分もこれからも面影ラッキーホールで呼び続ける気満々です。今回のコラムでも面影ラッキーホールの方を使います。

面ラホの持ち味

面ラホの活動歴は長く、結成は1992年。その後現在に至るまでメンバーチェンジを激しく繰り返しまくっていますが、現在の編成は13名です。でもたぶん今後も間違いなくメンバー変わると思います。ホーン隊やコーラスやパーカッションをも従え、ファンクバンドとしてのライブの迫力は圧巻です。

生々しく目を背けたくなるような題材を基に、物語性の強い歌詞をねっとりと歌い上げるのが楽曲の強み。そもそもの「面影ラッキーホール」というバンド名も、医療用ダッチワイフ「面影」と80年代の風俗の仇花「ラッキーホール」を合わせたもので、バンド名からしてアングラでアウトローな、何とも形容し辛い嫌ぁ~な感じがまとわりついています。まぁそこが強烈に好きなんですけど。

先ほども触れたとおり、面ラホの何よりの強みは本格的なサウンドに乗せた下劣で卑猥で不謹慎なその歌詞。古き良き歌謡曲のテイストをベースに、R&Bやソウル、ブルースといった要素を取り入れた王道ファンクサウンドに、ストーリー性抜群の歌詞を歌い上げます。分かりやすく言うと、凄く良い曲に凄く嫌な歌詞。

例えば、不良友達に4~5人とヤッたって嘘ついた童貞少年が無理やり幼馴染を犯して孕ませて相手のお義父さんにぶん殴られるも数年後にようやく認めてもらう歌とか、

日に日に別れた旦那に似てくる自分の子どもが好きになれなくなるバツイチ子持ち女の新しい男がその子どもに凄惨な虐待を加える歌とか、

もうシンプルにあたしだけにかけてってお願いする歌とか、

(MVに起用してるの田代まさしですよ。もうこの辺がどう考えても確信犯です。)

とにかく、面ラホの楽曲はその題材がえぐい。聴いた後にほぼ間違いなくブルーになるし、でもたまに無性に聴きたくなるこの中毒性はなんやろう。思春期真っただ中の少年時代にスーパー写真塾とか実話ナックルズとか読んでた時に感じてた背徳感やドキドキ感に近いもんがあります。見てはいけないものを見てしまった、知ってはいけない大人の世界を突如として知ってしまった時のあの心臓のバクバクみたいなもんを感じます。

表現方法と価値に関する考察

一つ言っときたいのは、面ラホは決して曲中に出てくるような非人道的行為を行う人間を肯定しようとしているわけではないということ。表現の一つとしてそういった人間を取り上げただけで、そういう行為自体は許されるものじゃないと以前読んだインタビュー記事で語っていました。

最近の若者コトバで「エモい」ってあるじゃないですか。自分もたまに使ってしまうんですけど。照。

昔から音楽用語としては、メロディアスな音楽に感情的な歌詞(特に泣き方面)を乗せたロックミュージックのジャンルを「エモ」と呼んだりしますが、音楽ジャンルとしての「エモ」も若者コトバとしての「エモ」も、感動・感情を意味する英語「emotion」「emotional」からきているんだと思います。「エモい」は定義付けが難しい言葉だと思いますが、たぶん「なんとなく悲しい」とか「なんとなく懐かしい」とか「なんとなく寂しい」とかそういった意味合いでしょう。「エモい」の定義が上記だとすると、自分は面ラホの音楽がこの世で最強のエモだと思うんですよね。他にここまで強烈かつダイレクトにエモ方面で情緒をぐりんぐりんに揺さぶってくるバンドはいないと断言できます。(いっぺい調べ&いっぺい’s 体感)

面ラホの曲はMV化してないものが多く、しかもせっかくMV作ってもエロ過ぎて動画サイトから削除されたやつとかもあります。今回は面ラホの楽曲のごく一部しか紹介ができませんでしたが、巣鴨でおじいちゃん相手に売春しておじいちゃんにめちゃくちゃされる女の歌とか、夏場にちょっとのつもりで娘を車に残してパチンコやってる間に死なせてしまった歌とか、トラックに轢かれて下半身不随になって性生活ができなくなったけどダーリンあたしのこと愛してる?離れないでね?病める時も一緒だよって神に誓ったよね?って夫に詰め寄る女の歌とか(旦那は慰謝料なしで別れる方法とかめっちゃ調べますけど)、とにかく聴いた後に気持ちが仄暗くなるようなやつばっかりなのですが、何とも言えない中毒性があり何故か病み付きになります。

そして何度も繰り返すようですが、面ラホの何よりの強みはその歌詞にあります。自分は、歴史やノリの良さ、リズムやコード進行、またアンサンブル等多くの点において、邦楽は正直洋楽にはまったく叶わないって思ってるんですけど、そんな邦楽の唯一と言っていいほどの洋楽にない強みは言語(歌詞)にあると思ってます。日本人なら日本語で歌われる曲の意味は当然分かりますが、洋楽は正直何のこと歌ってるのか全く意味分からないじゃないですか。日本人が洋楽聴く理由なんて、何となくメロディーが良いとか、何となくこのギター・ドラムがかっけぇ、ベースのスラップやべぇとか、そんなもんだと思うんですよね。洋楽聴いて「うわぁこの歌詞沁みるわー」なんて思うことは基本的に皆無だと思ってるんですよ。ちなみに自分はほぼ全くと言っていいほど洋楽聴かないんですが、理由はシンプルにこれです。洋楽聴いても詞に共感も感動もできんし、つまらん。

さて、そんな言語(歌詞)に強みを持つ邦楽ですが、現在メジャーシーンに位置付けされている楽曲たちの詞はどうでしょう。まずは一旦この曲を聴いてほしい。

本来言語(歌詞)なんてのは何にも縛られず自由に表現ができ、その多様さ故にいかようにも曲に個性を持たせられるはずなのに、画一的な大量生産・大量消費の市場構図のせいで現在の邦楽は横並びな詞世界になってしまってはいませんでしょうか。タニザワトモフミが痛烈に批判をした通り、アレが売れたらアレ真似して、それが音楽かい?そういった面では、面ラホの楽曲はとても個性的でそこには自由があり、「日本だからこそ生み出された至高の音楽」と言い表していいと思います。現在のシーンに溢れている画一的な詞世界に辟易している人にこそ、是非面影ラッキーホールの楽曲に触れてみてほしいです。

それではまた、気が向いた時に。

この記事を書いた人

いっぺい
310より「音楽馬鹿野郎」と名付けられた熱狂的音楽マニア。弟の名前は二平と三平です。
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