SATOWEB(佐藤雄樹)

多少重たい愛を語る

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はいどうもこんにちは。いっぺいです。早速ですが、大森靖子(おおもりせいこ)というシンガーソングライターをご存じでしょうか。メディア露出もちょろちょろとしているので、名前ぐらいは聞いたことある方も多いんじゃないかと思います。自分の中では、ここ4〜5年ぐらい断トツでマイベスト女性シンガーの座に君臨しています。大森靖子を知らない人、または名前は聞いたことあるけど…、という人たちにこそ大森靖子を超絶オススメしたい。そしてできればどっぷりと浸かっていただき、いつか自分と一緒に大森靖子縛りカラオケ大会やりましょうね。ね?

大森靖子ヒストリー

大森靖子は現在30歳。ギターを始めたのは19歳からで、バンドではなく弾き語りでのライブ活動を始めました。音楽活動開始後、しばらくはどこの事務所にも所属せず、己のギター1本のみで信じられないほど精力的にライブを行なっていました。ライブハウスはもちろんのこと、花見会場やストリップ小屋、廃校や廃病院、温泉、山、寺、映画館、教会、酒蔵、喫茶店、自宅、などなど。シーンを選ばず本当にどこででもライブを行なっていました。これはその当時の楽曲。

この完全無所属の時期に全国流通の音源を3枚も世に放ち、会場も全部自分でブッキングして全国ツアーを回り、コアな音楽ファンの周辺で「最近大森靖子っつうやばい実力の女性シンガーが出てきた」って噂がざわつき始めました。それが2012〜2013年ぐらい。自分も大森靖子を知ったのはこの頃で、一度見に行ったライブで完全に心を掴まれて今日に至るまで大森靖子がベストだと思っています。ライクじゃなくてラブです。

自分は、若さだけを武器にした女性アーティストはあっという間に消費されてシーンから姿を消していくと思ってるんですよね。女性アイドルなんかが良い例で。若さは飛び道具にも成り得るけど、その戦法を選んだその時から賞味期限が発生してしまって、しかも多くの場合は期限切れになる前にすでに食い潰されるケースが多いように思う。たぶん大森靖子自身そのカラクリに早々に気付いてたと思うし、今まで若さを武器にしたり男に媚びるような活動は一切行ってきませんでした。バンドじゃなくて一人で弾き語りを始めたのだって、自分のキャラクターを自分でよく理解してて一番自分の強みを活かせるスタイルを自然に選択した結果だと思います。元々学生時代から浮いた存在だったって本人も以前何かのインタビューで言っとったし、単に集団行動が好きじゃなかっただけってのもあるかもしれんけど。

事務所無所属で7年の音楽活動をした後、2014年9月、27歳の誕生日にメジャーデビュー。そしてメジャーデビューの翌年5月には妊娠を発表、数ヶ月間のみの活動休止期間を経てその年のうちに復帰、復帰後は現在に至るまで精力的な活動を続けています。

楽曲と人物像と峯田和伸

大森靖子はよくサブカルだとかメンヘラだとかのカテゴリーに括られます。自分も概ねそれで間違ってないなーとは思ってますが、大森靖子は「○○みたい」とか「ポスト○○」みたいな小さい枠には全然収まってなくて、ほんとに唯一無二の世界を作り上げてしまっています。

なんでこんなに激情が込められるんやろう。なんでこんなに苛烈な詞を丁寧に表現することができるんやろう。たぶん大森靖子って人はその他の人より感受性が異常発達しとるんやないかなって感じる時があります。そしてたぶんめちゃくちゃ頭の回転が早い。誰よりも他人の気持ちの変化を敏感に察知して、自分を犠牲にしてまで誰かのためになろうとする。たまにそれが行き過ぎた行為や表現になって、それが客観的に端から見るとメンヘラっぽく見えてしまう。でも、たぶん本人自身もそれも引っ括めて全部俯瞰で見えてて、それすらも自分の持ち味や武器として戦ってきたんだと思うんですよね。その過激さや突飛さから周りからあーだこーだ言われたことはめちゃくちゃ多かったと思うんですけど、それでも常に最前線で傷だらけになって突き進んできた強さに、尊敬の念を抱くぐらい惹かれます。

本当に大森靖子が好き過ぎて過去の著書とかありとあらゆるインタビュー記事を読み漁りまくってきたんですが、初体験は小学生の時に知らん男にやられたレイプだったとか、それがきっかけでエキセントリックな行動を起こすようになったとか、どれだけ寝なくても大丈夫か実験したら普通に1ヶ月ぐらい起きてたとか、今度は1ヶ月間ポテチだけで生活したとか、とにかくクワイエットルームにようこそ要素満載の人なんですけど、中でも銀杏BOYZとの出会いの話が好きで、大森靖子の活動の核を作ってるんじゃないかなと個人的には思っています。

愛媛の狭い街の中で、クラスメイトに疎まれ友達はできず、誰にも葛藤を相談できなかった時に出会ったのが銀杏BOYZの音楽だったそうです。銀杏BOYZなんてのは全国の拗らせ人間で青春真っ盛りリビドー爆発モラトリアム野郎共にとってのスーパーヒーローじゃないですか。

銀杏BOYZの首謀者こと峯田和伸は当時自分の携帯アドレスを普通にファンに公開してて、毎日メールを送ってくるファンが20人程いたそうです。そしてその中の1人が、当時17〜18歳の大森靖子だったそう。学校では事実に反する噂が流れまくってて、バイト先では店長に告られて困ってて、そんな愚痴とか疲れとかをちょっと文学的にまとめて毎日峯田にメールしてたそうなんですよね。それに対してごく稀に峯田から返信くるみたいな。峯田は峯田でこの子大変だなぁと思いつつ、この子がもし楽器とか持って曲とか書いたらたぶんすごいのになと思ってたそうです。だから大森靖子がデビューした時、峯田はあの時の子か!ってすぐ分かったらしくて。峯田和伸が作る曲って、マイノリティな人間にめちゃくちゃ寄り添ってくれるじゃないですか。自分は大森靖子の曲にも同じものを感じてたんですよね。だからこの対談記事を読んだ時めちゃくちゃ納得して。大森靖子の曲作りの根底には銀杏BOYZ・峯田和伸の存在があったんだろうなーと思って。

ちなみに、峯田にメールを送ってた20人ぐらいのうち5〜6人はもう亡くなっちゃったらしいです。本当に辛かった時期に峯田に縋ってたんだろうなぁ、と。そして当時まだTwitterとかも無い時代、ファンとめちゃくちゃダイレクトに繋がってて、でも結果的に何人も死んじゃって、そんなとんでもなく重たいもん背負って峯田和伸という男はどんだけの覚悟で音楽活動をしてたんだろうなって想像したら、銀杏BOYZの音楽の聴こえ方がちょっと変わってきたりもしました。

愛ダダ漏れ話

さて、大森靖子の曲の中でも一番好きなのが『マジックミラー』って曲で、

自分には聴いたら百発百中で泣いてしまう歌が3曲だけあって、マジックミラーはその1曲です。特に2番のサビの「あたしの有名は 君の孤独のためだけに光るよ」って歌詞がたまらんくて。かつて孤独な学生時代を過ごしていた大森靖子が銀杏BOYZの曲に救われたように、今同じように孤独を感じているどこかの少年少女たちにとって大森靖子の曲が救いになってると思うんですよね。この曲はその覚悟を歌った曲なんじゃないかと勝手に捉えてます。このMVは休日の新宿の歩行者天国で半ばゲリラ的に撮られているんですが、ちょうどこの日休日出勤で新宿のオフィスで仕事してて、衝動的に仕事サボって撮影見に行こうかなと思ったんですけどさすがにやめました。あとMVの4:45のところと4:54のところと5:02のところと5:43のところと所々ライブ映像が使われてるんですけど、これは2015年4月26日に中野サンプラザで行われたライブで、このライブ自分行ってます。アンコールで当時新曲だったマジックミラーが初披露されて、わしガン泣きでした。

また、去年東京でAlternative tokyoっていうイベントが開催されてそれに大森靖子も出てて、そのイベントは「商業的な音楽や流行音楽とは一線引いて、時代の流れに捕らわれない普遍的な音楽を紹介する」ってのがコンセプトなんやけど、大森靖子はコンセプトの名に恥じない堂々たるパフォーマンスを見せてました。で、本人自身多分気持ちが盛り上がりまくって客席に降りてきて歌い出して、自分のほんと目の前に来た時に愛が溢れまくってまじで衝動的に抱きつきそうになりました。抱きついてたら相当ヤバかったと思います。危うく犯罪者でした。

最後に、大森靖子は2015年に産休で一度活動を休んでるんですけど、年内にまた活動復帰して、復帰一発目のライブはCOUNTDOWN JAPAN 15/16のステージでした。当然自分もそれ見に行ってるんですけど、リハで1曲と30分のステージで7曲やって、その全曲で毎回泣くという偉業を達成しました。あの時は自分も何かゾーンに入ってる感覚で、大森靖子が尊すぎて意味分からんぐらい泣けたんですよね。たぶん自分の涙腺は手術せんと治らんのでひとまずお金貯めます。

音楽は魔法ではない

今年行われたBAYCAMPってフェスをきっかけに、大森靖子がYogee New Wavesにブチ切れる事件が勃発し、事態は両者のTwitterアカウント削除、またYogee New Wavesが公式に大森靖子に謝罪するにまで至りました。争いの元になったのは、『音楽を捨てよ、そして音楽へ』という大森靖子の代表曲の一つ。

曲中で大森靖子は何度も「音楽は魔法ではない」とシャウトします。孤独で寂しい学生時代を過ごし、多少人よりも凄惨な体験をしたこともあり、でもそんな少女が音楽と出会って音楽に救われて、次は自分が自分なりの音楽を奏でる側になって。それでも、彼女にとって「音楽は魔法ではない」。音楽によって人生が救われ、また音楽によって次は自分が救う側になった今でも、「音楽は魔法ではない」。何故大森靖子がYogee New Wavesにブチ切れたのかというと、大森靖子の次の出番だった彼らがMC中に一言さらりと「音楽は魔法だよ」と言ったこと。どう考えても大森靖子の『音楽を捨てよ、そして音楽へ』に対する反論。これに大森靖子は激怒したんですね。

『音楽を捨てよ、そして音楽へ』は、「音楽は魔法ではない でも、音楽は…」という詞で締め括られます。たぶん、これは自分の憶測にしか過ぎんのですけど、大森靖子自身が一番音楽が魔法だったらいいのになって想いを持ってるんですよ。音楽一つで全てを変えられたらいいのになって。ある種の未練に近いというか。でも、現実はそんなに簡単じゃないことを知ってる。現実はもっと生々しいことを誰よりも痛感してる。そんな想いを詞に込めて、魂込めて客前でシャウトしてる。その気持ちをYogee New Wavesは踏みにじってしまったんですよ。ヘラヘラしながら軽々しく「音楽は魔法だよ」って大森靖子の曲をイジってしまったんですよね。

音楽なんて受け手によって捉え方は様々やし、音楽は魔法だよって考えの人もいれば、音楽なんてくだらねぇって思う人もいるでしょう。今回の大森靖子とYogee New Wavesの争いにしたって、受け手によってどっちが悪いってのは意見が別れるやろうし、一方的にどちらかが悪いってのはないと思います。ただ、大森靖子が曲に込めた想いは理解してほしい。

それではまた、気が向いた時に。

この記事を書いた人

いっぺい
310より「音楽馬鹿野郎」と名付けられた熱狂的音楽マニア。弟の名前は二平と三平です。
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